ラストフレンズ 中野利幸監督
彼は表には出さない悲しさを、表情だけで表現出来る数少ない役者さんの一人なんですよ。
彼の醸し出す孤独感がなければ、あの役だってあそこまでフィットしなかったと思いますね。
僕が何より驚いたのは彼の涙ですね。
泣くのがもう天才的と言えるほど上手いんです。最後のシーンで自殺する前に写真を見ながら泣く場面があったんですが、
DVを正当化するわけにはいかないのに彼のあの涙を見たときに全部洗われるような、
そういう演技をしてきたときにはちょっと驚かされました。
彼の存在も凄く重要でした。アイドルなのにあそこまでやりきってくれるなんて!
あの役柄に関して何一つ文句を言わずやりきってくれましたから。
生理的に言いたくないセリフもあったはずなのに、そういうリクエストは一切ありませんでした。
彼がラストシーンまでヒールに徹してくれたからこそあのドラマが成り立った面もあります。
DVに関して、
「僕は絶対、女の子には手を出しません。だからその気持ちは理解できないです。
だけど、そういう行動に至ってしまう人達がいるっていうのは理解できますし、役なので演じ切ります。」
ってきっぱり宣言してくれて、台本の意図もちゃんと汲み取って演じてくれた。すごく男っぽいんですよ。
竹を割ったようなさっぱりとした性格の人です。(プラスアクト2010年7月号)
にいにのこと忘れないで 猪俣隆一監督
彼は集中力が凄いんですよ。ドラマのクライマックスに、彼は一人でベッドに寝ていて、周りを取り囲む家族に「(病気になったのは)なんで俺なんだよ」って嘆くシーン。
かなりの長尺なシーン。カメラ6台をフルに使って、長回しで撮ったんですが、彼の演技は素晴らしくて他の俳優さん達がどんどん彼に引き込まれていくんですよね。
僕自身、いつも仕事柄、演技に感情移入しすぎないようにしているにも拘らず、この時は入り込んでしまいましたね。
多分、あの時モニターを見ていた人はみんなそうだったんじゃないかな?
そういう演技をしながらも、彼は凄くナチュラルで芝居くさくないんですよね。
セリフを台本どおり喋って、カメラの要求に応えた動きをして・・・全部お芝居であることがわかっていても、芝居じゃないような感じが凄くする。
いつも淡々としていて、とても重いシーンがあるような日でも決して近寄りがたい雰囲気を出すわけでもなく、いつも通り。
それなのに、本番になると急に溜めていたマグマを噴き出すかのようなすごい芝居をするんです。
画面で見る彼の姿っていうのは凄く色っぽいんですよ。そういうのって練習してつかみ取るものではなく、
錦戸亮と言う人間が生まれながらに持っている雰囲気で誰にも真似できない。
きっと彼自身のパーソナルが持つ懐の広さが彼をそう見せるんでしょうね。(プラスアクト2010年7月号)
ちょんまげぷりん 中村義洋監督
彼の芝居の印象は・・・なんて言えばいいのかなぁ。
「よかった」としか言えないんですよね。
もしも錦戸くんが将来を迷っているなら、俳優一本でいいんじゃないの?と思ったくらい。
もう一度仕事をしたいと思わせる俳優って数人しかいないけど、錦戸くんは確実にその一人です。
今、思うのは彼が40歳くらいになった時に、若いヤツを怒るようなおっちゃんの役をやってほしい。
その頃には相当面白い役者になっていると思うんです。
他の人の手の届かない領域へ達しているというか。。。(プラスアクト2010年7月号)
役者さん、俳優さんとしての姿勢は僕は全面的に支持してます。いい俳優ですからね。
逆に僕が見てみたい感じですね。30代、40代の錦戸くんを。
苦労、努力を表に出さない。絶対どこかで努力しているはず。
それを見せないところはかっこいいですね。(少年倶楽部プレミアム)
抱きしめたい 塩田明彦監督
錦戸さんは受けの芝居が上手い。
どういうことかというと、そこにいるだけで間が保つ人なわけです。
言葉はよくないかもしれませんが、ほったらかしておくほど生き生きしてくる。
あまり細かいこと言わずに錦戸さんに任せておくと、こちらが望むものはちゃんと手に入るなと思いました。
あと、カットを割らない方が表情の持続感がある。微妙な表情の変化に見とれるんですよ。
錦戸さんは面白い。独特の軽さとおかしみがあって。でも男気と真剣さがあるんです。(ぴあMovie Special2014)
羊の木 吉田大八監督
音楽に例えると、リバーブ(残響効果)の種類って無限にありますよね。
そのバリエーションを、普通の人が5種類しか持っていなかったとしたら、錦戸くんは30くらい持っているイメージ。
そして、曲調や音楽性に合ったリバーブを瞬間的に判断して、さっと選択できる。
つまり、“この音がこの曲の中でいちばん生きるのはこれ”とすぐ返せるんです。
本作では月末の目線を通して、元殺人犯たちの歪みや揺れが描かれていきます。
錦戸くんがブレずに、一人一人を的確に反射し続けてくれたおかげで、全員がバランスよく映画のなかで生きたと思います。(Movei Walker)
彼の出ているバラエティ番組をあまり見たことがなかったのですが、
撮影が終わってから見る習慣がついて、最近また映画のプロモーションで会うようになり、
撮影していた頃とはまた違う魅力も感じるようになりました。
33歳の男としてのマナーも備えつつ、ファンの気持ちにも誠実に応えるというバランスを、すごく繊細に、
でも自然に保っていられるところは、若いのに素敵だなと思います。(マイナビニュース)
トットてれび 西郷どん 脚本 中園ミホ
隆盛という偉人の下で育った弟にはどうしても陰が出てくる。
立派な兄に憧れる分だけコンプレックスも育ってしまうから西郷従道のキャスティングには思い入れがあって。
従道は陰の部分を嫌味なく演じてもらう必要がありました。それでいて隆盛の「熱」とは違う、都会的な雰囲気がほしかった。
錦戸さんには「トットてれび」で坂本九さんを演じてくださって。
脚本家は自分の書いたセリフを読んでくださったときに、その俳優さんの実力がわかるんです。
従道の「屈折」をイメージしたとき、すぐにあのとき錦戸さんが思い浮かんでNHKさんにお願いしました。
錦戸さんは今、脚本家みんながオファーしたい俳優さんなんです。(女性自身)